日本では、「奥さん」が家のことをするのが当然ですね。でも、バングラデシュは、ブアと呼ばれる使用人が何でもします。ただ、うちでは、日本食の作り方等を教える手間が大変なので、料理人は雇わず、パートタイムで床の掃除夫に来てもらっています。
バングラデシュでの生活が始まった年のことです。12月も22日を過ぎた頃。バングラデシュでは少数派のクリスチャンのその掃除夫が、25日がクリスマスなので、明日から1週間、休みをもらって、田舎に帰るといいました。
それなら、お土産に、おいしいパウンドケーキを焼いて、持たせてあげよう。 そう思って、近所や知人の分もまとめて焼きました。 次の日、彼が来たときに「クリスマスだから」と渡すと、彼は喜んで受け取ってくれました。ただ、「後でとりに来る」と、台所の棚の上に置いて、彼は出て行きました。 何軒かを掛け持ちして仕事をしているので、持ち歩くのが大変なのでしょう。
日も落ち、8時も過ぎました。「後で取りにくるといってたけど、来ないな。忘れて行っちゃったんだな・・・」 自分の心を踏みにじられたようで、ちょっとがっかりしながら、主人と夕食の材料を買いにいきました。1時間ほどで帰ってくると、丁度、掃除夫が家の方から歩いてきます。今仕事が終わって、ケーキを取りに来たようです。
昼間は元気だった彼も、夜まで働いたせいか、ぐったりし、目もうつろでした。 いつも、こんなにへとへとになるまで働いているんだ。私がずっと家にいて、楽な生活をしている間にも・・・。 バングラデシュの貧しい人々の真実を知り、とてもショックを受けた出来事でした。そして、疲れた体を引きずって、プレゼントのケーキを取りに来てくれた彼の心を嬉しく思いました。
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